【2016-2017年度予算案の概要】今後オーストラリアはどう変わる?

昨夜、どの日本語のメディアより早く報道した「【速報】オーストラリアのバックパッカー税決まらず」の記事ですが、バックパッカー税にしか着目していなかったので、2016-2017年度の予算案自体について少し概要を見ていきたいと思います。

Budget Overview (予算概要)ということで、政府のホームページを見ると以下のようにまとめています。

The Government’s economic plan to ensure Australia continues to successfully transition from the mining investment boom to a stronger, more diversified, new economy.

「政府の経済政策では、オーストラリアを引き続き資源投資ブームから、より強固で多様なニューエコノミーへと転換させていく。」と述べています。

ここらへんは、資源頼みの経済である中東の国やロシアなどと同じスローガンを掲げていますね。資源の買い先である中国経済に左右されている今のオーストラリア経済から脱却したいのでしょう。

そして、冒頭のページにそのスローガンを実現するための施策ということで、3つの方法が明示されています。

① 継続した「雇用と成長」の政策の実施

中小企業への減税、イノベーションと科学分野への投資、スタートアップビジネスへのサポートなどが概要では書かれています。防衛産業によるオーストラリアでの新技術の発展、3,600人の雇用創出は、「オーストラリアの次期潜水艦はフランスが受注。建造はアデレードにて」で伝えた潜水艦製造を主に指しているものと思われます。

貿易協定による輸出機会の増加などは、2015年12月に発効した中国とのFTA(2019年1月には全ての品目の関税が撤廃)やTPPへの参加を指しているものでしょう。

100,000人以上いる不安定な若者を、実際の労働体験をさせることで、就業機会を与えるという施策は、今回発表されたインターンシップ受け入れ企業への経済援助がそれにあたります。

② 後世のための税制問題の修復

租税回避の撲滅(特に多国籍企業)は、前回の予算案にもあったと思いますが、アップルやアマゾンとかが行っているといわれている租税回避を引き続き取り締まっていくということですね。高所得者への税制優遇の終了も書かれています。

また、一生懸命働くオーストラリア人やその人々を雇用する企業にはより少ない税金を課し、もっと稼いでもらうという一文もあります。

③ 予算のバランスを取り、長期債務を減らし、財力の範囲内で政府運営を行う

具体的には、効率的、効果的、明確な目的に対する支出、障害者や弱者へのセーフティーネットの確立、インフラや健康と教育への投資を行うという内容です。

細かい内容は原文にもっとありますが、概要はこのような通りです。

中小企業やスタートアップ、また中間層への税負担は減ったのではないかと思います。ニュージーランドやオーストラリアはビジネスをしやすい国ランキングでよく上位にあるので、ビジネスを始める人にとってはさらに良い環境になっていきそうですね。

資源がなく人口が減っていく日本、資源が豊富で人口が増えているオーストラリア、どちらも結局目指すは、スタートアップの育成と技術革新。これ以外の成長の仕方ってないんでしょうね。となったら、技術革新を起こしやすい環境をどう作っていくかか。これだけが、政府の頭を使うところですね(弱者保護とかもありますが)。

個人的にショックだったのが、Economic Outlookにあったオーストラリアの経済成長を他の先進国と比べたときのグラフ(以下)。

australia is growing faster

どこを成長をはかる時のスタート地点に置くかによりますが、ここ10年日本はほとんど成長してないですね。既に経済大国だから天井に達しているという言い訳も、日本より経済大国のアメリカの成長と比較されてしまうとぐうの音も出ない。

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