オーストラリアの中古車並行輸入ビジネスについてのマーケットや規制について思うところ。

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こんにちはー。たまには、まじめにオーストラリアのビジネスについてでも考えてみたいと思います。このブログにも「ビジネス」というカテゴリーがあるので。

といっても、色んなネットからの公開情報の寄せ集めに対する雑記ですw

ちなみにずっと前にもオーストラリアでキャッチーなニュースだったんで少し記事書きました。

オーストラリアの自動車産業の終焉。トヨタが終止符、豪州生産車がなくなる日。

ド素人の感想文なんで、あまり参考にしないで下さいねーw

中古車海外輸出業界の全貌

オーストラリアの中古車並行輸入について調べていると、一番よくまとまっているなと思ったのが、Goonet自動車流通さんの2016年07月08日の記事「中古車輸出 期待高まるオーストラリア」。こちらの記事を参考にして、まずは数字から色々考えていきたいと思います(以下Goonet自動車流通参照)。

2016年4月末までの日本からの中古車輸出台数は前年対比で約95%の39万5636台となっている。

2016年度は、前年度から5%減って、39万5636台の中古車が世界中に輸出されたようです。世界でこれだけの数だと、各国当たりに輸出されている中古車はそんなに多くなさそう。

世界年間生産が1000万台クラブ200万台クラブなんて言葉が自動車業界にはありますから、40万台の中古車が日本から海外へと考えると、なかなかのボリュームと見ることもできるかも。

この相関図を見ると、2005年から2015年の10年間の「トヨタの収益性と規模の大きさ」「VWと現代の躍進」「富士重工の収益性の改善」が分かりますね。新車についての話ですが。

話を中古車に戻しますと、Goonet自動車流通さんの記事には、中古車輸出が減少した国について書かれています。

スリランカ:マイナス1万1871台

ケニア:マイナス9124台

ロシア:マイナス6265台

ミャンマー:マイナス4346台

過去どれほど中古車をそれぞれの国へ輸出していたのかは、分かりませんが全体が40万台と考えると中々の数字。

輸出台数が減少している要因は、

  • 輸入関税の引き上げ
  • 現地車両登録時の税金の引き上げ
  • 外貨送金の制限や為替レートの悪化

とのことです。

いずれも、それぞれの会社ではアンコントローラブルな外的要因です。為替や法律の変更で、一気にビジネスが吹き飛ぶので、国を跨ぐビジネスは厳しい。

一方、逆に輸出台数が増加している国はどこでしょう?

アラブ首長国連邦:プラス1万1074台

シンガポール:プラス6541台

バングラデシュ:プラス3961台

アフガニスタン:プラス3401台

それぞれの国の増加要因については書かれていませんでした。

今年に入って日本から中古車が輸出されている国数は161カ国にも上る。うち、輸出台数の大小はあるが半数以上の92カ国で前年対比プラスの輸出台数となっている。海外から中古車を輸入販売する産業が確立しており、自動車産業に従事する人口が多い国の場合は、雇用を守るために急な税制や輸入規制の変更はあまりない。

とあり、全体的には多くの国で中古車輸出台数が微増しているようです。そして、車のように国に大きな影響を与えるビジネスの場合、雇用の観点から税制や輸入規制が急に変更になることはないようです。

記事は続いてこう述べています。

ニュージーランド(以下、NZ)はその最たる例である。今年は昨年に比べると若干マイナスの輸出台数だが、南島や北島のオークランド以外のローカルエリアで移民の誘致を行っている影響でアジア人を中心に移民が増えており、これらのエリアでは昨年よりもクルマの需要が発生している。「人口が増える」、「乗換えサイクルが早い」という環境が続くことが魅力なため、NZ向けに安定した中古車輸出を始めたい企業もあれば、2018年のオーストラリア市場開放を見据えてNZ向けビジネスに取り組もうと計画されている企業もある。

なるほど。

  • 人口が増える
  • 乗換えサイクルが早い

という環境があれば、中古車業界にとっては魅力的なマーケットとなるわけですね。

  • 人口が増える
  • ローカルエリアで移民の誘致を行っている影響でアジア人を中心に移民が増えている

という点は、オーストラリアも同じかもしれません。

「乗換えサイクルの早さ」は、どう決まるのか分かりませんが。

ちなみに先ほど業界全体で40万台と言ってましたが、NZには年間10万台の中古車が輸出されているようです。1/4とは凄い。しかも、その日本からの中古車が占める割合は、NZマーケットの95%。

中古車輸出の仕向地としてのオーストラリアマーケット

オーストラリアの人口は約2391万人。国民一人当たりの年間GDPは6万1066米ドル(約641万円※1ドル=105円計算)、自動車の保有台数は約1600万台。

この数字がどれくらいの規模なのか分からないので、日本とザックリ比べてみます。

日本の人口:1億2,709万人(2016年10月1日時点の確定値)

国民一人当たりの年間GDP:3万2,478米ドル(同年オーストラリア5万1,180米ドル)

自動車の保有台数:8,131万台(一般財団法人 自動車検査登録情報協会 平成28年8月末現在)

オーストラリアは、0.67人に1人が自動車を持っていて、日本は0.64人に1人が自動車を持っている計算でザックリはよいのでしょうか。

とりあえず、この瞬間のスナップショットより、これからの人口が減る日本と、人口が増えるオーストラリアという動向だけで、参入を考えるのは十分なのでしょう。

オーストラリアに長年住んでいる肌感覚的には、新車が好きな日本人に比べ、中古車でもいとわないオージーなので、中古車価格が高く保たれているイメージがあります。

メーカー別のシェア率は以下の通りである。

1位:トヨタ(シェア率:17.8%)

2位:マツダ(シェア率:9.9%)

3位:ホールデン(シェア率:8.9%)

4位:ヒュンダイ(シェア率:8.8%)

5位:三菱(シェア率:6.2%)

うち、販売台数を車型別で見ると以下の通りである。

1位:乗用車(約51.5万台)

2位:SUV(約40.8万台)

3位:小型商用車(約19.9万台)

4位:大型商用車(約3.2万台)

なかでもSUVの人気は毎年高まっており、2015年のSUV登録台数は前年比15.9%増となった。

確かにマクロで見ても、SUVの人気はオーストラリアでは高いです。低燃費とかより、「デカい車=カッコいい」のような空気があります。

マーケットは、このような感じだそうです。

オーストラリアから海外に輸出される台数は約36万台となっている。二次流通車両は過走行車両が多いため、廃車処分される台数が多い。オーストラリア国内の新車販売や新車販売に従事する方を守る傾向にあるため、現状の日本からの中古車の輸入はいくつか高いハードルが存在する。

ただし、日本からオーストラリアへの中古車輸入には2つのハードルがあるようです。続いてそれについて見ていきましょう。



ハードル①

1つ目のハードルとして、輸入関税がある。関税としてFOB価格(日本を出航するまでの金額をいう)に対して5%発生し、さらに台あたり12,000豪ドルが課せられる。また、CIF価格(車両と船賃込みの金額)と先ほどの関税の合計金額に対して、10%の消費税が課せられる。さらに自動車価格(CIF価格・関税・消費税の合計金額)が6万316豪ドルを超える場合、自動車価格に対して奢侈(贅沢)税として33%が課税される。例えば、日本国内の流通価格が100万円のクルマの場合、オーストラリアの店頭に並ぶまでに約250万円(うちほとんどが税金)まで金額が上がってしまう。

日本国内の流通価格:100万円

FOB価格の5%:5万円(100万円×5%)

関税:102万円(12,000豪ドル×85円)

CIF価格と関税に対して10%の消費税:23.2万円(10%×(車両100万円+船賃30万円+関税102万円))

奢侈税:33万円(自動車価格100万円×33%)

全部足すと、超ザックリですが、263.2万円(約3万豪ドル)くらいになるのでしょうか。元値の2.5倍以上に跳ね上がってますね。物価が高いオーストラリアとは言え、日本で100万円レベルの車を、約3万豪ドルで売るのは厳しいでしょう。JAEPAによって、関税が撤廃されない限りにおいては。



ハードル②

2つ目のハードルは、輸入できる業者と車種に制限があることである。オーストラリア国内で販売される車両の流通相場を壊さないように、基本的には国内で販売されていない車両が輸入許可の対象となる。ただし、一業者に一車種・年間100台までの輸入許可というように制限が設けられる。輸入許可が得られる業者の数も多くはない。したがってオーストラリアの輸入ルールを知らずに輸入しようとすると、これらのハードルのために売買契約がキャンセルされ、車を日本に送り返されるトラブルも発生するため注意が必要である。輸入が開放されれば、年間100万台規模で海外からの車の輸入の可能性が見込まれるオーストラリア市場に対する温度間は非常に高まっており、現地拠点立上げや現地企業のM&Aを検討している企業が増えてきている。

「輸入できる業者と車種に制限がある」とうのは大きい。特に全ての業者がこのビジネスをできるわけではないというところ。

業界の方は詳しいと思われますが、RAW業者という許可がおりた会社しかこのビジネスができないんですね。

「一業者に一車種・年間100台までの輸入許可」というのは、どういう意味なんですかね。この業者はこの車種って決まったら、その業者はその車種だけを100台輸入し続けなければならないのでしょうかね。その車種を申請して増やすこともできるのか。

よく分かりませんが、「年間100万台規模で海外からの車の輸入の可能性が見込まれる」とあるので、日本からの中古車を例えば40%とすれば、40万台という今ある世界へのマーケットと同じ規模のマーケットが誕生するということになりますね。魅力的に見えますが、競争も激しそうで、ハードルもいくつもありそうですね。

ということで、そこらへんに落ちている公開情報をまとめてみましたー。下のコメント欄に意見あれば、聞きたいですwこういう話好きなので。

こちらの記事もどうぞ。

オーストラリアの自動車産業の終焉。トヨタが終止符、豪州生産車がなくなる日。




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