当ブログの管理人である僕(@famzau)は、微々たる額ですがブログから毎月1万円ほどの収益を得ています。
また、たまに翻訳の仕事などをして小銭を稼いでいます。
【海外副業】オーストラリアで翻訳の仕事をしたよ。収入を公開!英語から日本語への翻訳は中々難しかったが、クリエイティブだった。
僕が住むオーストラリアの税法だと、オーストラリアの居住者は、オーストラリア国外含む全ての収入をタックスリターン(確定申告)の時に申告しなければならないのです(参考:ワーホリの人がタックスリターン申請する前に絶対知るべき基本事項3つ)。
ブログ収益も副業も全て申告しなければなりません。知らなかったでは済まされないので注意が必要です。
大体どこの海外の国にいてもこのスキームは同様だと思います。取りあえず稼いだ額は国内外問わず全て申告して、そこから租税条約に合意している国であれば二重課税分が免除されるという流れでしょう。
じゃあ一体、日本やオーストラリア、東南アジアなどの広義のアジアでどこの国が、スモールビジネスをやっているフリーランスにとって有利なのか少し気になったので調べてみました。
日本とオーストラリアの個人事業主にかかる税金比較
まずは、日本のフリーランスに対する税金から見てみましょう。
フリーランスの人が支払わなければならない税金は、主に4つあります。それは、所得税、住民税、個人事業税、消費税です。
まずは、所得税から見ていきましょう。
日本の所得税の速算表
(平成27年分以降)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え
330万円以下 |
10% | 97,500円 |
330万円を超え
695万円以下 |
20% | 427,500円 |
695万円を超え
900万円以下 |
23% | 636,000円 |
900万円を超え
1,800万円以下 |
33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え
4,000万円以下 |
40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
(参考:国税庁)
オーストラリア居住者のTax rates (2016–17)
The following rates for 2016–17 apply from 1 July 2016.
※海外居住者やワーホリの方は別の税率です。
Taxable income | Tax on this income |
0 – $18,200 | Nil |
$18,201 – $37,000 | 19c for each $1 over $18,200 |
$37,001 – $87,000 | $3,572 plus 32.5c for each $1 over $37,000 |
$87,001 – $180,000 | $19,822 plus 37c for each $1 over $87,000 |
$180,001 and over | $54,232 plus 45c for each $1 over $180,000 |
(参考:ATO)
これらを比較して両者の特徴を見て行きましょう。
① オーストラリアは所得税がかからないレンジがある
テーブルを見て下さい。オーストラリアで全ての収益が、$18,200以下だと税金がかからないんですね。今の為替レートが、$1=約85円なので、154.7万円以下の課税収入であれば、支払う税金がゼロです。
一方、日本だと1円からさっそく5%の税金がかかってきます。
② オーストラリアは住民税がない
日本は、上のテーブルには載ってなかったですが、市町村民税6%と道府県民税4%の合計10%の住民税がかかります。
なので、日本と他国と比較するときには、上のテーブルの税率プラス10%と考えないと見誤ります。
また、日本だと事業所得が290万円を超えた場合は、個人事業税というのも課せられます。これは業種によって違いますが、3~5%です。
③ 両国とも消費税を納めなくてもいい場合がある
消費税については、日本が売上1,000万円以下、オーストラリアが$75,000(637.5万円)以下の場合は消費税を納めなくてもよい。
また、日本は開業から2年は消費税を納めなくてもいいことになっています。
④ 両国とも最高税率は45%
上のテーブルを見れば分かりますが、日本もオーストラリアも最高税率は45%ですね。
但し、②で申し上げた通り、日本には住民税10%と個人事業税3~5%がかかるので、日本の方が最高税率は高いですね。
日本は4000万円超で45%、オーストラリアは$180,001(15,300万円)超で45%。どちらにせよ、それだけ稼いでいれば法人化した方がいいでしょう。
⑤ 結論、オーストラリアの方が日本よりフリーランスにとって優しい国
細かい条件などはあると思いますが、ざっくり2つの税金を比較してみました。そして、オーストラリアの方が税金がフリーランスにとって低い国ということが分かりました。
実際にシュミレーションしてみましょう。$1=85円、住民税10%と個人事業税0%で考えたいと思います。実際、ライターの場合の個人事業税は0%のようです。また数字は丸めています。
課税収入
(年) |
日本 | オーストラリア | 差額 |
150万円
($17,647) |
22.5万円
(税率5+10%) |
0円 | 22.5万円 |
300万円
($35,294) |
50.3万円
(税率10+10%) |
27.6万円
(税率19%、$3,248) |
22.7万円 |
500万円
($58,824) |
107.3万円
(税率20+10%) |
90.6万円
(税率32.5%、$10,665) |
16.7万円 |
800万円
($94,118) |
200.4万円
(税率23+10%) |
190.9万円
(税率37%、$22,456) |
9.5万円 |
1,000万円
($117,647) |
276.4万円
(税率33+10%) |
264.9万円
(税率37%、$31,161) |
11.5万円 |
課税年収300万円あたりまでが、オーストラリアに住むメリットが大きいです。そこから課税年収が増えるにつれて日本とオーストラリアの差額が縮まっていきます。
気づく方はいるかもしれませんが、課税収入500万円と800万円のとき、オーストラリアの方が税率は高いのに日本の方が課税額は高くなりますね。これは住民税に控除額がなく一律10%かかっているからです。
1,000万円稼げるようになれば、もう10万円くらいの差なんて気にしなくなるのかもしれませんが。
広義のアジア諸国との所得税の比較!税率が低い国はどこ?
さて、ではアジアにおいてフリーランスにとって所得税が一番低い国はどこになるのでしょうか?
上の章で日本とオーストラリアを比較したように、広義のアジア諸国を含めて所得税率を比較したいと思います。
但し、各国とも細かい条件があるので、完全に正確ではないです。ザックリこんな風になっているというのを感じてもらえればと思います。
赤色のハイライトが一番税率が低い国、茶色のハイライトが次に税率が低い国となっています。逆に一番税率が高い国は青色ハイライトされています。
課税年収 | 日本 | オーストラリア
85円 |
ニュージーランド
82円 |
シンガポール
81円 |
香港
15円 |
台湾
3.6円 |
マレーシア
26円 |
タイ
3.3円 |
インド
1.7円 |
150万 | 15% | 0% | 17.5% | 0% | 15% | 5% | 16% | 10% | 20% |
300万 | 20% | 19% | 17.5% | 3.5% | 15% | 12% | 24% | 20% | 30% |
500万 | 30% | 32.5% | 30% | 7% | 15% | 20% | 24% | 25% | 30% |
800万 | 33% | 37% | 33% | 11.5% | 15% | 20% | 24.5% | 30% | 30% |
1,000万 | 43% | 37% | 33% | 15% | 15% | 30% | 24.5% | 30% | 30% |
調べてみた感じ、各国とも税率は高い頻度で変わることが多いようです。なので、最新の情報を日々チェックするようにしてください。
また、香港のように2つの税の計算の仕方があり、低い方を取る選択制がある国もあります。
では、サクッと全体をみて僕の気づきを述べたいと思います。
① 所得税0%のレンジがある国
日本とオーストラリアを比較した章で紹介したように、所得税0%の国があります。
それは、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、タイ、インドです。
その中でも一番0%のバーが一番高い国がシンガポールで、$20,000シンガポールドルまでは非課税です。162万円までは、課税されません。次にバーが高い国がオーストラリアで154.7百万円まで非課税です。
マレーシア、タイ、インドも同様に税率0%のレンジがありますが、日本人が生きていけないほど低い額にバーが設定されています。
② 発展途上国の所得税は、日本人にとっては高い
よく、発展途上国に住んだら物価も安いし日本人にとってはいい生活を送れるといいますが、税金の側面から言うと発展途上国の所得税は高くなります。
理由は簡単で、各国とも累進課税をとっており、日本人の給料になるとその国で超金持ちに分類されてしまうからです。
実際、課税収入150万円で一番所得税率が高い国はインドです。それ以上に生活費が低いというメリットはあるかもしれませんが、税金は一番払わなければなりません。
移住先としても人気のマレーシアやタイなどですが、こういった側面もあります。
③ お金もちに高税率の日本、中産階級に高税率のオーストラリア
テーブルの青色ハイライト、つまり一番税率が高い国を見ていきましょう。すると分かるのが、まず課税年収1,000万円を超えた場合、日本の税率は一番高くなります。
日本のお金持ちがシンガポールや香港に移住するのはこのためですね。資産フライトなどにも一番メリットがとれる国が、日本だったのですね。
まぁ、そんなことは超が付くほどの金持ちにならないと持たない悩みなので、僕には関係ないのかもしれません。
そして、この比較をすることによって明らかになった事実は、オーストラリアは中流階級から一番税金を取る国だったのです。
課税年収500万円と800万円の場合、一番税金が高い国がオーストラリアとなっています。これは、僕にとっては非常に興味深い結果となりました。
④ やはり所得税が低い国は、シンガポールと香港
期待通りの結果ありがとうございます。
やはり、色々な新聞やビジネス書が言う通り、シンガポールと香港の所得税は低いのですね。それのみならず、相続税なども低いのだと思います。
世界のお金持ちが移住及び資産フライトする理由も頷けます。香港は15%としていますが、JETROのウェブサイトには以下のようにあります。
2015/16年度は標準税率15%で、段階的な2~17%の累進税率との選択制。コミッション、賞与、チップ、手当、その他臨時収入、香港で提供されたサービスに対する収入および年金も課税対象に含まれる。
つまり、段階的な2~17%の方が低ければそちらになる可能性もあるのですね。
シンガポールと香港のどっちの国を選ぶのかという議論はあるでしょう。どちらも中華系の人がいて不動産価格が高いという共通点があり、相違点もありますね。
中国本土の影響力が強く、アンブレラ革命などのデモが起きており、カントリーリスクが若干高いのが香港。ただし、日本から近くて頻繁に帰国できるというのがいいですね。
どちらがいいかは、個人の置かれた状況によります。
⑤ 結論、税金はお金持ちになってから悩めばいい
色々分析しましたが、どこの国が所得税が低いかにあれこれ悩むより、個人の稼ぐ力を引き上げる方が最優先事項でしょう。
課税所得1,000万円以上稼げるようになれば、数10万円の差なんて痛くないでしょう。また、それくらい稼いでいれば、お金払って専門の国際税理士のような方に頼めばいい話です。
もしくは、それくらい稼げるようになっていれば、法人化して一律の法人税を選ぶこともできます。
どこの国を選ぶのかも大事ですが、もしその悩むレベルまで達していなかったら稼ぐ力や仕組みについて時間を割いた方がよいですね。
もしくは、生活の質に着目するのもありですね。
ということで、僕が非常に感化された本は以下です。どれも新書や雑誌でかなり理解しやすいです。
◆資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)
◆週刊東洋経済 2015年2/21号 [雑誌]
◆アジア・シフトのすすめ (PHPビジネス新書)
※尚、本記事の情報による責任は一切負いかねますので、ご了承ください。それぞれの国に細かいルールがあり、そのルールも日々更新されています。また、税制メリットについては個別事象によるところが多いです。