2017年1月1日からオーストラリアのワーキングホリデーをする人に対する新しい所得税率が適用されました。
ここではオーストラリアにいるワーホリの方が知らなくてはいけない最新の所得税について、世界一簡単に説明します。
そもそも所得税とは何か?
オーストラリアの所得税率について話す前に、まず所得税とは何かについてザッとおさらいします。
所得税とは利益に対してかかる国の税金です。個人の所得(収入から必要経費を差し引いた利益)に対して課される税金とも言えます。
つまり、オーストラリアで普通にワーホリをした人の場合、レストランやファーム(農家)からもらった給与に対してかかる税金です。
オーストラリアでは、毎年7月1日から6月30日までに稼いだ給与をATOという税務局に申告しなければなりません。
その稼いだ所得を申告することをオーストラリアではタックスリターンと呼び、日本で言うところの確定申告にあたります。
タックスリターンの締切は、毎年10月31日です。つまり、7月1日から10月31日までの期間に前課税年度分(7月1日から6月30日)の申告をしなければなりません。
ワーホリの所得税率はいくらか?
所得税というものが分かったところで、オーストラリアでワーホリする人の所得税率はいくらなのか?という疑問にお答えしたいと思います。
よく他のブログなどで、「オーストラリアのワーホリの所得税は、15%である。」という内容の記事を見かけますが、これは間違いです。
実際は、$37,000以下の課税所得のときだけ15%です。それ以上稼いだ場合は、15%以上の税金が課せられます。
$37,000というと、日本円で314.5百万円ほどです($1=85円換算)。これ以上稼いだときは、32.5%、37%、45%と所得額の増加に応じて税率が上がっていきます。
ということで、本記事では正確性に配慮するため、オーストラリアの税務局のウェブサイトの所得税早見表をそのまま日本語訳して掲載します。
以下が正しい情報になるのでご覧ください。
2016-2017年度の以下税率は2017年1月1日から適用開始 | |
課税所得 | 本所得に対する税額 |
$0 – $37,000 | $1ごとに15c (15%) |
$37,001 – $87,000 | $5,550と$37,000超えた額に対して$1ごとに32.5c (32.5%) |
$87,001 – $180,000 | $21,800と$87,000超えた額に対して$1ごとに37c (37%) |
$180,001以上 | $56,210と$180,000超えた額に対して$1ごとに45c (45%) |
このようにオーストラリアの税務局は、上記のような表を載せています。
「$1ごとに15c」という表現が少し難解ですが、要は税率15%という意味です。
例えばワーホリの方が7月1日から6月30日の間に$20,000稼いだとしたら、所得税は$3,000となります。$20,000×15%=$3,000という計算です。
では、$37,000以上稼いだ場合はどうなるのか?これについても簡単ですので計算してみましょう。
例えばワーホリの方が7月1日から6月30日の間に$40,000稼いだとしたら、所得税は$6,525となります。
($40,000-$37,000)×32.5%+$5,550=$6,525という計算です。$37,000以上稼いだ分に対して32.5%かかるというところがポイントです。
ただし、99%のワーホリの方は$37,000以上も稼げないです。なぜなら、月に20万円以上を12カ月連続で稼いだとしても$23,236にも達しないからです($1=85円換算)。
なので、ほとんどの人の場合、所得税率15%が適用されます。
タックスリターンとは?
さて、オーストラリアの所得税についてはもうこれで理解しましたね。
ここではもう少し踏み込んでタックスリターンについて解説したいと思います。
先ほど述べたように、タックスリターンとは日本で言うところの確定申告にあたります。あなたが会計年度に稼いだ額を税務局に申告する行為を言います。
ただし注意して欲しいのが、「タックスリターン」という呼び名だからと言って、税金が必ずしも返ってくるという意味にはなりません。
本来課税するべき額より少ない税金しか納めていなければ、タックスリターンをすることで不足分の税金を取られることもあるのです。
例えばオーストラリアのレストランやファームから給与が支払われるときに、雇用主はあらかじめワーホリの方から所得税を差し引きます。
そして、レストランやファームはその差し引いた所得税をそのままオーストラリアの税務局へ支払います。その差し引かれることを日本語で源泉徴収と言います。英語では、withholdと言います。
なので、ワーホリの方が源泉徴収として15%あらかじめ給料から引かれていて、タックスリターンのときに経費などもなく15%の税率が適用されれば、タックスリターンを申請したところで、税金は返ってきません。この場合、追加で支払うこともないです。
これは、課税されるべき額と既に源泉徴収によって支払っている額に差額がないからです。
まとめるとタックスリターンでのお金のやりとりは、「課税されるべき額」と「既に課税されている額(源泉徴収)」に差があるときにのみ発生します。
税金を払いすぎていればその分が返ってくるし、税金を少なく払っていれば不足分が請求されます。
ただし、お金のやりとりが発生しないからと言ってタックスリターンをしなくてもよいということにはならないので注意してください。
そして、この収入というのは給与のみならず、よくあるのが銀行に預けている利子なんかも含まれます。また、オーストラリア国内外問わず得ている全収入を申告しなければなりません。
まとめ
ということで、オーストラリアの所得税について超分かりやすく説明してみました。こんなに分かりやすくかみ砕いた記事はないと思うので、お気に入り登録やブックマークもお忘れなく。
2017年以前は同じワーホリの方でも居住者や非居住者の分類などによって税率が変わっていたんですが、2017年1月1日以降は全ワーホリ対象に同じ税率テーブル(表)が適用されるようになったので、より簡単になりましたね。
とはいえ、税法はまだまだ奥深いので、心配な方はオーストラリアの税理士さんなんかと相談しながらタックスリターンを勧めましょう。尚、本記事は正確な情報の提供に配慮していますが、一切の責任を負うものではないのでご了承下さい。
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